「今月は仕入れを抑えたから材料費率が良くなった」
本当に使う材料が減ったのでしょうか。それとも、たまたま発注しなかっただけでしょうか。
この記事では、仕入れ÷売上で材料費率を見る問題点を解説します。
結論:仕入れベースは「買った話」であって「使った話」ではない
材料費率の目的は、施術の原価が売上に対して適正かを見ることです。
仕入れ額は、在庫を増やした月も、業者のキャンペーンでまとめ買いした月も、一気に膨らみます。施術量との対応がありません。
具体例
- 技術売上:300万円
- 今月の仕入れ:45万円
- 仕入れベース材料費率:15%
棚に30万円分の在庫が増えているだけなら、本当の施術原価はもっと低いかもしれません。逆もあります。
美容室で起きやすいパターン
パターン1:発注月と使用月のズレ
11月に60万円仕入れ、12月に10万円仕入れ。12月の売上は350万円。
仕入れベースだと、11月は率が悪く、12月は率が異常に良く見えます。オーナーは「12月はうまくいった」と勘違いしがちです。
パターン2:在庫が増え続ける
仕入れは毎月ある。使用量は把握していない。棚はパンパン。
材料費率の数字だけ見ても、キャッシュと在庫の圧迫には気づけません。
RELIVEでも、口頭・LINE発注だけの時期は、仕入れと使用の区別が曖昧でした。改善のきっかけは、「使った分」を別途見るようにしたことでした。
では仕入れ額はどう使うか
仕入れ額は無意味ではありません。
- 資金繰りの管理
- 発注計画の見直し
- 在庫高の推移
材料費率とは別の指標として見るのが正解です。
使った分の記録がない場合
完璧を目指さず、使用量の多い5品目から記録を始めてください。カラー剤1本、2液、主要トリートメントなど。
「全部」が無理なら「まずここから」で十分です。
現場でよく聞く声
「仕入れを抑えれば材料費率は改善する」
一時的には数字が良く見えるだけです。在庫が増え、キャッシュだけが減る。1〜2ヶ月後に使用量は変わらないまま、また仕入れが必要になります。
「うちは感覚で分かっている」
感覚は経験則として大切です。ただ、スタッフが増え、メニューが増えると感覚だけでは限界が来ます。数字は、感覚を検証する道具です。
「記録なんて現場が回らない」
最初から全品目は無理です。カラー剤だけ、閉店前5分だけ。小さく始めれば、現場も回ります。
RELIVEの直営店での学び
RELIVEでは複数の直営店を運営しています。以前はLINEや口頭で発注管理を行い、使用量はほとんど記録していませんでした。空箱は捨てるだけ。材料費率は仕入れ額を当てはめていた時期もあります。
改善のきっかけは、「使った分」を別の数字として見始めたことでした。仕入れと使用のズレが可視化されると、発注量・教育・メニュー価格の判断が一気に具体化しました。
今日からできる3つのアクション
- カラー剤の使用を1日1回でも記録する(本数で可)
- 月次で「仕入れ額」と「使用ベース材料費」を並べて見る
- 11〜12月の大量仕入れ月は、率の良し悪しを鵜呑みにしない
まとめ
仕入れ÷売上は、美容室の材料費率としてはズレやすい計算です。経営をテキトーに見せてしまう数字になり得ます。
使った分を記録し、材料費率を施術原価として使う。そこからが、ちゃんとした経営の入口です。
美容室の在庫管理課題に向き合う中で、在庫管理アプリ「ストッカ」を開発しています。